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2018/07/26

【備忘録】オペアンプの発振条件について考察してみた 1

お久しぶりです。社畜ではないですが、日々面倒事に巻き込まれておりまする。
一応電気系というか、大学でやりそうなことの延長線上の仕事に就いていて、あんなことやこんなことをやっております。

そんなこんなで本を開けば色々なところで語り尽くされてはいますが、ちょっと躓いたところもあるので、オペアンプの発振条件についてちょっと考えてみました。
インプットはやってもアウトプットしないと「あれ?」ってなることが多いため。
対象としてはオペアンプの基礎的な回路(ボルテージフォロワ、反転・非反転増幅、バーチャルショート)が分かってる程度。まあ算数ですが。



1. フィードバック回路


まずは上の回路。おなじみの閉フィードバックの回路です。

何らかの信号を出したい時に、そのまま何も考えずにガンガンと出すというのも一つの手ですね。
ただし、楽器とかを思い出してほしいのですが、耳を塞いだまま、ただ楽譜通りに音を出し続けるのは怖いものです。
自分が今どんな音を出しているのか、そもそも調律してあるのか、分からないのが理由の一つでしょう。
すべて超強い力でかき鳴らすのも手ですが、しんみりしたところでガンガン鳴らし、逆にサビで弱い曲は曲として成り立っていないでしょう。
今自分が出している音を聞いて次の音を調整する。
これがフィードバック制御です。

上の図で言うところの、
楽器を鳴らそうとした力: Vin
音: Vout
楽器そのもの(楽器が音を出す力): A
音の調整の度合い: β
楽器に入力される力: V
こんな感じだと思います。

まず、楽器から出る音Voutは、楽器に入力される力Vに楽器の音を出す力Aをかけたものとなります。
Vout = A x V・・・(1)
で、音を聞いた奏者は次の音を度合いβで調整します。
次の音Vは、入力しようと思っていた力Vinを、聞いた音Voutと度合いβで調整し、
V = Vin - β x Vout・・・(2)
のようになります。
(1)と(2)を合わせると、
Vout/Vin = A/(1 + Aβ)・・・(3)
となります。
上の式(3)が入力に対してどれだけ出力が変化したか(回路の増幅率、閉ループゲイン、クローズドループゲイン)の式です。

このAをオペアンプの世界では、オペアンプの増幅率、開ループゲイン、オープンループゲインと呼びます。
またβを帰還率と呼びます。

2. ボルテージフォロワの閉ループゲイン


はい。上の話を頭に入れた上でボルテージフォロワを見てみます。
オペアンプを使った式を解いたりしたことがあるならば、オペアンプの増幅率が∞であることは知っていると思います。
フィードバックの式 Vout/Vin = A/(1 + Aβ) において、オペアンプの増幅率はA、フィードバックの比率(帰還率と言います)はβです。
ボルテージフォロワは反転入力端子にVoutがそのまま接続されているので、帰還率βは1になります。
なので、ボルテージフォロワにおいては、
Vout/Vin = A/(1 + A x 1)
となり、オペアンプの増幅率Aが∞なので、
Vout/Vin = ∞/(1 + ∞)
となります。無限大から見た1はカスみたいなものなので、無視します。すると、
Vout/Vin = ∞/∞ = 1
となり、入力と出力が同じになったのと同じ意味になります。
以上、ボルテージフォロワの式でした。

3. 発振条件、ゲインと位相の感覚的な話

例としてボルテージフォロワを上げました。
次に、発振条件について確認します。

世間一般に言われている発振条件は、Aβ = -1というやつです。
このとき、Vout/Vin = A/0 = ∞となり、発散します。
VoutがVinに対して無限大になるので、例えばVinがすごく小さな値でもすぐにオペアンプの+の電源レールに張り付くような感じです。
と思ったら、次はちょっとした不安定性によってVinが一気に落ちて−の電源レールに張り付いたり。
一般的に発振状態になっているオペアンプは特定の周波数の三角波や正弦波に似たような波形を出力します。
電力がそれなりにある場合はICが鳴くこともあるようです(発振の波の周波数が可聴域に入っている場合)。

Aβ = -1というのは、理想的なオペアンプの条件であるA = ∞が存在する場合、まず起こりません。β = 有限の数のためです(0になることはあり得なさそう)。
しかし、Aもβも、入力されている周波数によってガンガン変化していきます。
Aはオペアンプの増幅率を示していますが、オペアンプのデータシートを見れば、A(オープンループゲインと言います)と周波数の関係が図として載っているはずです。
ボルテージフォロワの場合、βは常に1なような感じもしますが、実際には非反転・反転入力端子間や線間の寄生キャパシタンスや、線の引き回しによる寄生インダクタンス、出力に付いている負荷などによって微妙に1から外れており、入力信号の周波数によって多少変動するような値になっています。
ボーデ線図を使ったりする話は2で書こうかな、とは思いますが、これらのインピーダンス成分を含むとAもβも複素数であり、大きさと位相で表記することが可能です。

Aβ = -1というのは、大きさの絶対値(ゲイン)が|Aβ| = 1であり、位相(角度)が∠Aβ=-180°を表します。
ここでいうゲインはAβの絶対値であり、Vout/VinでもAでもないことに注意してください。


つまり、理想的ではないオペアンプを使って理想的な線でボルテージフォロワを組んだ場合、オペアンプの増幅率が1であり、入力に対して出力が反転しているような感じになるとアウトです。
オペアンプの増幅率が1というのは、もはや増幅してないです。

オペアンプの入力の片方に正弦波、もう片方をGNDに落として実験すると、Aが高いときは正弦波に対して追従した矩形波が出てくるはずです。
これは増幅率が高すぎるので、電源レールに一瞬で張り付くためです。
で、周波数を上げていくと矩形波の立ち上がりが徐々に緩やかになり、正弦波に近づいていきます。
それと同時に出力波形がどんどん遅れていき、最終的には正弦波と逆相の正弦波が出てくると思います。
これが位相が180°遅れたということです。

次は実際のデータシートを見たり、ちょっとした実験などを行います。

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