死臭。蛆。鳴き声。雨。天の暗さ。
全部の要素がまるで彼女を死にいたらしめるかのように取り巻いている。
雨でいつもびしょ濡れなんだ。
でも、きっと何もできないよ。
雨に早くやめと祈るばかりで、どうやっても、きっと無力。
無力。無意味。無価値。
すべてを否定されるようなやり方で、僕は否定されていく。
失うんだ。
あの死臭に。
遠かった。
哀しいよ。
でも、きっとネットにこうやって書き込む時点でそれは逃げだ。
逃げるだけで、何もしようとしない。
死臭が、蛆が、雨が、怖かったんだ。
死について自分から考えようとしない理由がようやくわかった気がする。
何もかも、もう遅い。
失ってしまうんだ。もう。
死んでしまうんだ。もう。
僕がかける慰めの言葉は、きっと届かない。
何も届くことがないのならば、僕が生きてる意味って何?
きっと、この言葉はとどかない。とどいたとしても意味が無い。
彼女にはこの言葉は分からない。
「ありがとう」
って──。