空の瓶。
酒を呑んだ。
ワインはこの時期、よく冷やして飲むと美味しい。
ビールも冷えていれば美味しい。
要は冷えていればこの時期ならなんでも美味しいのかも知れないとか思う。
今は空の瓶と、何も入っていない缶が、それぞれ無造作に転がっている。
それらは昨日楽しんだ残りかすみたいなものか。
かすかに香る、ワインのアルコールが、鼻孔をつくけれど、もはや何も感じない。
少し考えてみた。
呑み過ぎてフラフラしながらパソコンで遊んでいる時も、
一滴もエタノールを摂取していないシラフの時も、
朝起きてまず一番初めに時間をチェックする時も、
通学している時にさえも。
変に、不意に、突然、いきなり、夢の内容が出てきちゃったりして。
そんな時に、自分がここにいる理由だとか、
自分が何をしにどこへ行くのかだとか、
くだらない、実にくだらないこの人生のことについて考えちゃったりして。
よくよく考えてみれば、自分もこの瓶のように、
空っぽなのかもしれないなんてようやく気づいてしまった。
それが良いことなのか、悪いことなのか、自分じゃ判断つかないけれど。
空っぽだから、何も入っていないから、
今まで足掻いてきたり、いろいろな物にいちゃもんをつけたり。
怒りを抑えたり、言いなりになったり、酒を呑んだり。
妙にやる気に溺れてみたり、この世は~なんて悲観してみせたり。
バカだったなぁ。実にバカだなぁ。
随分と長く、無駄な時間を過ごしてきた。
これからもしばらくは無駄な時間を過ごすかもしれない。
でも、それは自分が「決断する」という能力を著しく欠いていたせいであって。
その結果であって。過去の自分の贖罪な意味も込めて。
これからしばらくの間をまるで喪に服すように。
空っぽの瓶みたいに。何も思わず、何も想わず。
過ごしていく。
生きていこうって、少し思ってみた。
空っぽの自分が。